フラ菊

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五月余話

五月_1969:後日譚/人+国 ■フランシス  突然、脳幹が微笑みに抱擁された。 脳裏にふわりと舞い降りたその笑みの持ち主が誰かはいわでもがな、確かにそれはこの一年何度も間近で――ごくごく身近に見たもので、今も部屋で帰りを待ってくれているは...
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五月

悲しめるもののために みどりかがやく      ――室生犀星 五月_1968:本編/人+国 ■フランス  「男の子だっていいじゃない」――に類する言葉をフランスが言うようになったのは、実はかなり最近のことになる。 彼はこんな台詞を言うとき、...
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巴里祭

フランシス×本田菊(近未来パラレル、「スタンド・バイ・ミー」前提、三十代) 花火と共にその日は始まる。今年は記念の年、更に奮発されているらしい。最初に咲いた夜の華の、その花弁が地に落ちるのを見ていたらかつんとガラスがなる音がした。「どうも、...
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スタンド・バイ・ミー

フランシス×本田菊、悪友×菊(近未来パラレル、大学生)   ―― 辺りは暗く、月明かりしか見えなくても。   友人を見つけてしまって気まずい場所ナンバーワンってどこだろう、なんて、徒然のままにした会話を思い出した。そりゃ本屋とかビデオ屋の1...
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梅一輪

フランス←→日本 バレンティーノ 「お疲れさーん!」「ありがとうございましたー!」  声は同時、その後畳に倒れ込んだのまで同時だった。作業イプ中突然マシントラブルが発生し、思わず発した奇声を心配し声を掛けてくれただけでなく〆切間際と知ってノ...
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ヘタリアde秋ご飯・蕎麦

フランシス×菊( 両片思い ) 「菊ちゃん」「はい」「体育の日ってオリンピック開会式の日がもとじゃなかったっけ」「はい……今は移動祝日ですが……」「日本の夏は苛酷だからって秋にやったんだったよね」「はい……」「ちょー暑いんですけど」「は……...
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掌の中の

フランシス×菊(1936) この手の小ささが悔しかった。ずっと。 * 西日本の最高峰、石鎚山の表参道には全長二百メートルを越す鎖場がある。最大傾斜七〇度の急斜面を登るよすがとして、五〇センチほどの鉄棒を鎖状につなぎ垂らしてある。一度登り始め...
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ニルマル・ヒルダイ

フランシス(・ギルベルト・アントーニョ)×本田菊(近未来パラレル) 何とか付属何とかと言う長ったらしい名前があったのだが、誰もそんな名前で呼ばない。眼下一面に海が広がるその施設には、俺たちと、菊がいた。 「今日朝メシ何だろ?」 廊下の突き当...
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The long and winding road 3

フランシス×菊(高校生パラレル、連作その3) 痛みは、熱さとして感じられた。足が燃え尽きてしまうかと思うほどの熱が引いた後、今度は猛烈な寒さに襲われた。血とともに体温が流れ出していく。これは夢だ。何度もそう自分に言い聞かせた。現代の日本に戦...
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Sous une pluie d’etoiles

フランシス×本田菊 ( 「Je suis ici. 」前提 ) 「羨ましいなあ…」卓袱台の向こう、寝そべっているからかろうじて背中とその先の金髪と、ぴこんと跳ね上がった前髪が見えるだけのアメリカがため息をつきながら呟いた。フランスにそれが見...