アル菊

アル菊

放生会

アメリカ×日本(R15) こぷ、と小さな音を鳴らして菊の唇が離れた。まだ息の静まらないアルフレッドを見下ろしながら、「おごちそうさま」と薄く笑う。そうしなければ脱いでもくれないから豆電球しかつけていない、そのおぼろな橙色の明かりの下、黄みが...
アル菊

Kopernikanische Wende

アメリカ×日本(開戦直前回想) 問題:最後、二人はどこにいるでしょう。 「こんにちは」呼びかけた日本の声は、震えていなかった。対するアメリカの返事も。「やあ」日本は静かにアメリカの隣に腰を下ろした。波は穏やかで風も無い、堤防から足を投げ出し...
アル菊

どこまでが本当

アメリカ×日本(現代)  何はともあれ、と札幌に戻り、新千歳行きの特急に乗る面々をホームまで見送って、「お疲れ様でした」と手を振った日本は、「さて」とこちらを向いた。「どこを見たいですか。日本三大がっかりの時計台とか?」「がっかりしないでく...
アル菊

ひまわりの擬態

アメリカ×日本(1984年前後時事) 「風船はぜったいだよね」「そうですね。人に持って貰って五輪を形作るのにも使えますし、放してもきれい。まさに開会式のマストアイテムでしょう」そしておにぎりのマストアイテムは海苔です。そう言いながらくるりと...
アル菊

早春賦

アメリカ←→日本 @1953頃  賀状を取りに門まで出た菊に、式典帰りの小学生たちは礼儀正しく頭を下げた。あけましておめでとうございます、おめでとうございます。お年玉というほどの額ではないが、ほんの少し包んだぽち袋を渡してやると、子供たちは...
アル菊

ヘタリアde秋ご飯・肉まん

アルフレッド×菊(薄く片思い) 銀行のついでに郵便局で切手を買って、ドラッグストアの店先で新製品をいくつか手にとって。そんな、火急でも必須でも無いお出かけから戻り、最寄りのコンビニでじゃんぷと何かおやつ、と思って足を向けたところで「あ」と声...
アサ菊

執筆されない話たち

Twitterの「いいねの数だけ制作予定の無い話の台詞や一節を載せるいいねした人もやろうぜ」というタグで書いたヘタリアSS未満をまとめておきます。「制作予定がない」というよりは「制作予定があったのだけど、このまま書かないままになりそうな話」...
アル菊

そこに写る不在

アルフレッド×菊(養子パラレル、1951年頃。死要素あり)続「やっと、泣くことができた」 泣き叫べばあのときのように引き留められるというのなら、体中の水分を全て出し尽くしてもかまわなかった。  その立場になってみて初めてわかる――なんて言い...
アル菊

やっと、泣くことができた

アルフレッド×菊(養父アル(27くらい)子菊(15くらい)パラレル。1948年頃)。※死要素あり。 「菊。きーく」階下から私を呼ぶ声がきれぎれに届き、本を閉じた。とんとんと階段を下りるとドアの外からまた名を呼ばれる。「はい、今」ドアを開ける...
アル菊

そこより芽吹く

アルフレッド×本田菊(R18)  八つ当たられ体質とでも言うのだろうか、理不尽に思える譴責を受けることが間々あって、体だろうが心だろうが、多少の痛みを受けることには慣れてしまった。だから平気なのですと、そんな言葉を免罪符にして、この関係は始...